【ボクのお絵描きのはじまり】
むかしみかし…ボクは、絵を描くコトに特別なものを特に感じずにいました。
幼少時代、ボクの兄が、交通事故で亡くなり…おとなしくて引っ込み思案で、
絵を描くのが大好きでそしてとても上手だと言われてた兄の幼稚園での絵を
手に取り塞ぎこみながら泣いてる母の後ろ姿をよく見ては…
子供ながらになんとかしなきゃと思ったものです。
『お兄ちゃんは、絵が上手かった…』
後に…ボクにとってコノ母のコトバは、とても大きな意味を含むコトバとなり…
数十年経った、今現在も尚…決して消えるコトのない重くて、痛くて…
そして…頑張ろうと思えるキーワード的なものとなりました。
とにかく、兄とは、まるっきり正反対の性格で、やんちゃで、快活で、幼少ながらも
母に何も告げずに数キロ先の公園に勝手に出向いては、知らない子と友達になって
泥んこになって遊び倒す…
兄に『お兄ちゃんと遊ぼう!』と、泣きつかれようが…母に叱られようが…
お構いなしで、ふら〜っと勝手に外に遊びに出かける…そんな放浪癖のしっかり
身につきまくってる子供でした。
人見知りも皆無…いつも、いつの間にか中心にいるような…そんな子供で、
外で遊ぶのが大好きな子供でした。
自分の子供を褒めるのは、恥ずかしいコト…そんな昔ながらによくあるような
感覚を持った母に育てられたもので、母から叱られはしても、褒められた記憶が、
まったくといっていいほどにありませんでした。
褒められるようなコトもしてなかったのかもしれませんが…(笑)
兄が亡くなってからというもの…そんな母が兄を褒めてる姿を見て…寂しかった
記憶がしっかりとあります。今、思うと…褒めてたというよりも…兄の思い出を
思い出しては、哀しみにうちひしがれてたのだろうと、今ならば、思えるのですが…
当時のボクには、そんな思いは少しも理解出来ずに…自分を見てくれなくなって
しまったというそんな寂しさでいっぱいだった記憶しかありません…
自我も自己主張も激しく…自分が中心のような性格のボクにとっては、その状況は
自分自身を否定されたかのようにすら思えたものです。
そして…『お兄ちゃんは、絵が上手かった…』コノ、コトバが胸に突き刺さり…外に
出るのが大好きだった娘は、鉛筆を握って…絵を描くようになりました。
『よく描けたね!』
たった、その一言だけを求めて…